星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

「星と音楽」篇

  講座資料として漁った書籍を紹介します。



天について/ アリストテレス
京都大学学術出版会 1997(ISBN ISBN4-87698-105-1)
第一巻: 月より上の世界
 

第一章:宇宙の完全性について
第二章:円運動する第五元素が存在すること
第三章:円運動する第五元素の諸特性
第四章:円運動には反対な運動がないこと
第五章:無限な物体は存在しないこと
    その一、第一物体または第五元素の場合
第六章:無限な物体は存在しないこと
    その二、その他の元素の場合
第七章:無限な物体は存在しないこと
    その三、一般的な理由
第八章:宇宙はひとつしかないこと
    その一、諸元素の本性よりする証明
第九章:宇宙はひとつしかないこと
    その二、形相と質料よりする証明
第十章:宇宙は生成も消滅もしないこと
    その一、先人の諸説の検討
第十一章:宇宙は生成も消滅もしないこと
    その二、生成しないもの、生成するもの、消滅するもの、消滅しないもの、
        可能、不可能の諸義について
第十二章:宇宙は生成も消滅もしないこと
    その三、証明

第二巻: 月より上の世界(つづき)
  第一章:諸帰結の要約と確認
第二章:天の上下、左右について --- ピュタゴラス派に対する批判
第三章:宇宙における物体と運動の多様性
第四章:天は球形であること
第五章:恒星天が東から西へ回転する理由
第六章:恒星天の運動の均一性について
第七章:星たちについて
    その一、星たちの本性
第八章:星たちについて
    その二、星たちの運動
第九章:星たちについて
    その三、星たちの協和音
第十章:星たちについて
    その四、星たちの順序
第十一章:星たちについて
    その五、星たちは球形であること
第十二章:星たちについて
    その六、星たちの動きの多様性
第十三章:大地について
    その一、先人の諸説の検討
第十四章:大地について
    その二、アリストテレスの説
第三巻: 月下の世界
  第一章:生成に関する諸問題 --- 『ティマイオス』におけるプラトンの切に対する批判
第二章:自然的な運動 --- 重さと軽さ
第三章:元素について
    その一、元素の本性
第四章:元素について
    その二、元素の数
第五章:元素について
    その三、元素は複数あること
第六章:元素について
    その一、元素の生成
第七章:元素について
    その一、元素の相互からの生成
第八章:元素について
    その一、元素に形を与えることに対する批判
第四巻: 月下の世界(つづき)
  第一章:重さと軽さ
    その一、序論
第二章:重さと軽さ
    その二、先人の諸説の検討
第三章:元素について
    その三、アリストテレスの説
第四章:重いものと軽いものの相違と振る舞い
第五章:四つの元素の質料はどのように区別されるか
第六章:物体における形の役割
 
 天球の音楽を真っ向から批判した書。ピュタゴラスの教えを受けたプラトンのアカデメイアで教えを受けたアリストテレス。この時代からガリレオが数々の実験を行なった時代まで、ヨーロッパを席巻したのはプラトンではなくアリストテレスの哲学が絶大な影響を与えていました。当時の科学は実験をしない。なぜならアリストテレスが「そう言っているから」が合い言葉になってしまった時代でした。特に私が読みたかった「われわれはそんな音を現に聴いてはいない」、「なぜなら、音など何も発していない」といったアリストテレスの考えは、第二巻第九章で語られています。

翻訳は池田康男(Yasuo Ikeda)。




古代音楽論集/ アリストクセノス/プトレマイオス
京都大学学術出版会 2008(ISBN978-4-87698-175-5)
 
 アリストクセノスはピュタゴラス派の音程を数比だけで決める方法論を批判し、耳で聞いた音を元に音階理論を確立。方やプトレマイオスはピュタゴラス、プラトンを継承する音楽論を展開し、のちにヨーロッパのクラシック音楽への展開の契機をなした理論を著わしました。まっこうから対立する(といっても両者の隔たりは300年近く!)二人の音楽論が、まぁ、回りくどい表現で綴られています。

翻訳は山本建郎(Tatsuro Yamamoto)。




近代科学の形成と音楽/ ピーター・ペジック
NTT出版 2016(ISBN 978-4-7571-6065-1)
第1章 音楽と古代科学の起源
第2章 オレームの夢
第3章 動かないものを動かす
第4章 無理数を聞く
第5章 ケプラーと地球の歌
第6章 デカルトの音楽修業時代
第7章 メルセンヌの宇宙の調和
第8章 ニュートンと長六度の謎
第9章 オイラー――音楽の悲しみの数学
第10章 オイラー――音から光へ
第11章 ヤングの音楽的光学
第12章 電気の音
第13章 「場」を聞く
第14章 ヘルムホルツとサイレン
第15章 リーマンと空間の音
第16章 原子を調律する
第17章 プランクの宇宙のハルモニウム
第18章 聞こえないハーモニー
 帯には「無理数、惑星運動、光学、電磁気学、量子物理学… みんな音楽が霊感を与えた。ガリレオ、ケプラー、デカルト、ニュートン、オイラー、ヤング、ファラアデー、ヘルムホルツ、リーマン、プランクまで。音楽は感覚と理論、知覚と数の世界を架橋する。」と書かれています。

「これだー!」っと思って手に取りました。特にケプラーの箇所など得るものが多く(彼の『宇宙の調和』の解読本みたいな感じ?)、サンプルの音楽も併せて聴きながらなので、今までの天球の音楽が実感できる好著です。翻訳は竹田円(Madoka Takeda)。




天球の音楽/S.K.ヘニンガーJr.
平凡社1990(ISBN4-582-52308-0)
【第一部】紀元前六世紀
序章 伝説と史実の狭間で
第一章 長い髪のサモス人
第二章 ギリシアのしきたりとはまったく異なる - 紀元前六世紀
第三章 かの人々のうちに、いとも該博な人がいた - 紀元前五三〇 - 五〇〇
第四章 私の真の出自は天である - 紀元前六世紀
第五章 万物には数がある - 紀元前六世紀
第六章 ピュタゴラスのかの有名な図形 - 紀元前六世紀


【第二部】紀元前六世紀 - 紀元前五世紀
第七章 ピュタゴラス派のピオラオスの著書 - 紀元前五世紀
第八章 プラトンによるピュタゴラスの探求 - 紀元前四世紀
第九章 古代の人々、私たちいいよりも優れていて、
神々のより近くで暮らしていた人々がこの言葉を残してくれた - 紀元前四世紀
第十章 アリストテレスからエウクレイデスへ - 紀元前四世紀
第十一章 ローマのピュタゴラス - 紀元前三、二、一世紀
第十二章 真ピュタゴラス主義とプトレマイオスの目を通して - 一、二世紀
第十三章 古代の終わり - 三 - 七世紀

【第三部】八世紀 - 二十一世紀
第十四章 「巨人たちの肩に乗った小人」 中世におけるピュタゴラス- 八 - 十四世紀
第十五章 自然が最も素晴らしく完璧な姿を見せるもの - 十四 - 十六世紀
第十六章 「そのとき、夜明けの星はこぞって喜び歌い」ヨハネス・ケプラー - 十六世紀と十七世紀
第十七章 啓蒙され教化されて- 十七世紀と十九世紀
第十八章 ヤヌスの顔 - 二十世紀
第十九章 単純性の迷宮 - 二十世紀と二十一世紀

エピローグ 音楽か沈黙か
 翻訳は 山田 耕士, 正岡 和恵, 吉村 正和, 西垣 学。欲しかった引用元が明記されていたり、巻末の図版などあちこちに散らばっていそうな文献がまとまっているので非常に助かります。




1 交響する音楽と科学
2 ピュタゴラスという名のマエストロ
3 プラトンと世界霊
4 宇宙を解明する鍵
5 ルネッサンスの音楽学者たち
6 天界の音楽とオペラの誕生
7 ヘルメス思想の流れ
8 ケプラー、ピュタゴラスになる
9 ニュートンと《魔笛》
10 ロマン派という異端者たち
11 シェーンベルクと大いなるテーマの復活
12 音楽の現在、そして未来へ
 翻訳は黒川孝文。先のヘニンガーによる『天球の音楽』の後に読むと、著者の語りに乗せられて、とてもわかりやすく読み進めれます。同じような進行、内容なのにジェイムスによる当書はワイドショー的な乗りというのでしょうか?噛み砕いて暮れているところに面白さがあります。




ピュタゴラスの音楽/ キティ・ファーガソン
白水社2011(ISBN978-4-560-08163-1)
【第一部】紀元前六世紀
序章 伝説と史実の狭間で
第一章 長い髪のサモス人
第二章 ギリシアのしきたりとはまったく異なる - 紀元前六世紀
第三章 かの人々のうちに、いとも該博な人がいた - 紀元前五三〇 - 五〇〇
第四章 私の真の出自は天である - 紀元前六世紀
第五章 万物には数がある - 紀元前六世紀
第六章 ピュタゴラスのかの有名な図形 - 紀元前六世紀


【第二部】紀元前六世紀 - 紀元前五世紀
第七章 ピュタゴラス派のピオラオスの著書 - 紀元前五世紀
第八章 プラトンによるピュタゴラスの探求 - 紀元前四世紀
第九章 古代の人々、私たちいいよりも優れていて、
神々のより近くで暮らしていた人々がこの言葉を残してくれた - 紀元前四世紀
第十章 アリストテレスからエウクレイデスへ - 紀元前四世紀
第十一章 ローマのピュタゴラス - 紀元前三、二、一世紀
第十二章 真ピュタゴラス主義とプトレマイオスの目を通して - 一、二世紀
第十三章 古代の終わり - 三 - 七世紀

【第三部】八世紀 - 二十一世紀
第十四章 「巨人たちの肩に乗った小人」 中世におけるピュタゴラス- 八 - 十四世紀
第十五章 自然が最も素晴らしく完璧な姿を見せるもの - 十四 - 十六世紀
第十六章 「そのとき、夜明けの星はこぞって喜び歌い」ヨハネス・ケプラー - 十六世紀と十七世紀
第十七章 啓蒙され教化されて- 十七世紀と十九世紀
第十八章 ヤヌスの顔 - 二十世紀
第十九章 単純性の迷宮 - 二十世紀と二十一世紀

エピローグ 音楽か沈黙か
 翻訳は柴田裕之。




哲学的宇宙生誕論の先駆者たち
第1章 哲学的宇宙論の先駆者たち

イオニアの思想家たち
第2章 ミレトスのタレス
第3章 ミレトスのアナクシマンドロス
第4章 ミレトスのアナクシメネス
第5章 コロポンのクセノパネス
第6章 エペソスのヘラクレイトス

西方ギリシアの哲学
第7章 サモスのピュタゴラス
第8章 エレアのパルメニデス
第9章 エレアのゼノン
第10章 アクラガスのエンペドクレス
第11章 クロトンのピオラオスとピュタゴラス派

イオニアの応答
第12章 クラゾメナイのアナクサゴラス
第13章 アテナイのアルケラオ
第14章 サモスのメリッソス
第15章 原始論者たち --- ミレトスのレウキッポスとアブデラのデモクリトス
第16章 アポロニアのディオゲネス
 なかなかないピュタゴラスへの言及が、様々な哲学者の断片で読むことができます。また、タレスは星好きなら押さえておきたい史上初の科学者(イソップ第40話でも有名な逸話?)についても知ることができます。
翻訳は内山 勝利(Uchiyama Katsutoshi、木原 志乃(Shino Kihara)、國方 栄二(Eiji Kunikata)、三浦 要(Kaname Miura)、丸橋 裕(Yutaka Maruhashi)。




第1章 楽譜と音楽史
第1節 ネウマ譜の時代 - 楽譜に書くことにこそ価値がある
第2節 多声化と自由リズム - 計量記譜法が可能にしたこと
第3節 楽譜の印刷と出版 - 楽譜の実用化と音楽の伝播
第4節 タブラチュアの意義 - 楽器と楽師
第5節 近代五線記譜法の誕生と発展
第6節 楽譜出版の隆盛 - 出版文化の中の音楽
第7節 楽譜に書かれること/書かれないこと
第8節 現代の楽譜

第2章 楽器と音楽史
第1節 キリスト教と楽器
第2節 中世・ルネサンスの楽器
第3節 楽器の確立 - ヴェネツィア楽派の活躍
第4節 バロック期の器楽(1) - 鍵盤楽器の活躍
第5節 バロック期の器楽(2) - オペラと楽器
第6節 楽器の世紀(1) - ピアノの時代
第7節 楽器の世紀(2)- オーケストラの拡大と器楽の抽象的表現
第8節 20世紀の楽器 - 一人オーケストラと無人演奏の夢

第3章 人と音楽史
第1節 聖職者は音楽家か
第2節 騎士歌謡
第3節 町楽師の登場と巷の音楽
第4節 宮廷楽団と宮廷楽長
第5節 自立への道
第6節 公開演奏会の時代 - 作曲家と演奏家/指揮者
第7節 ディレッタントの盛衰
第8節 女性音楽家の登場
第9節 音楽鑑賞の変遷
第10節 人と音楽の関わり

第4章 音楽と社会 音楽の場と社会的機能
第1節 教会の音楽
第2節 宮廷の音楽
第3節 市井の音楽
第4節 劇場とコンサート・ホール
第5節 サロン音楽と過程音楽、市民の音楽
第6節 録音・放送と音楽

結 歴史と現代における音楽の意義

 音楽通史ではありますが、著者が「序」で書いている通りに「縦割り」の流れを汲んでいます。通史を時代毎に区切るのではなく(とはいっても、ジャンル毎に通史なので、流れ的には時代に沿って進む)、ジャンル通史とでも言ったら良いでしょうか? それなりに音楽史を通読してればついていくことは簡単ですが、いきなりこれを音楽通史として手に取ると頭が混乱してしまうかもしれません。それでもピンポイントでまとまっているので、おさらい的に参考にさせてもらってます。そのあとで専門書、みたいな流れで。




ヨーロッパ音楽の歴史/ 金澤 正剛
音楽之友社 2021(ISBN978-4-276-11059-5)
第1章 古代の音楽
第2章 中世の音楽
第3章 ルネサンス音楽
第4章 バロック音楽
第5章 古典派
第6章 ロマン派
第7章 ロマン派以後
 タイトル通りの内容が時系列に様々な繋がりとともに読みやすくまとめられています。おおざっぱな基本、クラシック音楽の流れを学びたいときに便利な一冊




プロローグ --- グレゴリオ聖歌と中世の教会音楽

第1章 中世の音楽教育
第2章 ボエティウスの音楽論と中世知識人たち
第3章 オルガヌムの歴史
第4章 ノートルダム楽派のポリフォニー
第5章 アルス・アンティカの歴史的位置
第6章 アルス・ノヴァとトレチェント

エピローグ --- ルネサンス音楽への未知
【宇宙の根源的響きを表現し、クラシック音楽の礎となった中世音楽。その一大中心地・パリをめぐる知識人たちの交流が、新たな技法と楽譜を生み出した。数の学問としての「音楽(ムジカ)」とは?単声聖歌からポリフォニーへ、世俗歌曲との出会い】本の表紙に書かれた説明書きが、なかなかバロック以前の音楽へ脚を踏み込めずにいた気持ちをぬぐい去ってくれました。古代(天球の音楽)から中世への橋渡しに関してわかりやすく解説してくれてています。2015年に河出文庫より文庫本化されました。




まえがき──耳に宿る魂
0. 中世、ルネサンスと古楽──音楽生活の諸相 当時と現代
1. 音楽上の基本語彙
2. ルネサンス音楽は存在するか
3. 対位法と魂の喜び──ヨハネス・ティンクトリスと一五世紀の新音楽
4. 宮廷の音楽──自己顕示、心の涵養、気晴らし
5. 生活の中の芸術と音楽
6. ミサ曲
7. モテット
8. 多声リート──シャンソンとテナー・リート
9. 多声リート──マドリガル、ビリャンシーコ、ソング
10. ソロの器楽曲──オルガン、チェンバロ、リュート、ビウエラ
11. 自己顕示と会話──器楽アンサンブルのための音楽
12. ダンスのための音楽──舞曲としての音楽、楽しみの高度文化

付録
ルネサンス 作曲家列伝
プラトン哲学と宇宙論
 ルネサンスほど同じ音楽に聞こえてしまうジャンルはなかったのですが、ケプラーの作曲家への言及(ラッソス)から興味を持てるようになりました。とはいえ、今までほとんど聴いて来なかったジャンルなので、どこから入って良いのやら迷っていたときに目に止まった一冊。チョイスの決めては付録に記された『プラトン哲学と宇宙論』でした。上の目次では省きましたが、クースのニコラウス、マルシリオ・フィチーノ、ロバート・フラッド、ヨハネス・ケプラーという面々が登場します。そしてケプラーの後を受けて、これもいつかは読みたいと思っているシェイクスピアで幕を閉じます。かなり高価な一冊でしたが、楽譜と当時の音楽が22曲入っているので…
翻訳は井本晌二(Shoji Imoto)。




キリスト教音楽の歴史―初代教会からJ.S.バッハまで
日本キリスト教団出版局 2005(ISBN978-4-276-11059-5)
 




キリスト教と音楽 ヨーロッパ音楽の源流をたずねて/ 金澤正剛
音楽之友社2007(ISBN978-4-276-11058-8)
第1章 キリスト教の礼拝と音楽
第2章 教会暦のはなし
第3章 礼拝の式次第について
第4章 教会とオルガン
第5章 クリスマスの音楽
第6章 救世主の受難をめぐって
第7章 復活祭をめぐって
第8章 レクイエムについて
第9章 聖母マリアへの賛美
第10章 オラトリオの起源と歴史
 




 
CD案内 キリスト教音楽の歴史/ 川端純四郎(日本基督教団出版局/1999)

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