星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

 星に興味が出始めて、最初に興味を持つのは、やはりギリシア神話の世界が色濃く反映されている星座でしょう。晴れていればどの方向を眺めても星がキラキラとまたたく情景に、ガイドブックのページに描かれた絵姿を連想する楽しさがあります。四季を通じて繰り広げられる星座の世界は、星の世界への入り口といえる楽しみではないでしょうか?

 個人的には、最初の星座の本を手に取ったのは、藤井旭さんの『星座ガイドブック』でした。その後、星座神話にのめり込み、国によって異なる姿を探し出したり。様々な愉しみを味わうことができるのが星座ではないでしょうか。

 

星座の神話 / 原恵
【星座の神話】
恒星社厚生閣(1979年4月1日発行)
 星座といえば太古の昔に作られた… といった歴史程度しか知らなかったので、この本に紹介されている星座の出生の出所やら、その後に辿って来た時間やらは、まさに目からうろこのような楽しさを覚えました。下になっているのは新装版で、初版から7年目に改訂されたもの。上に乗っかっているのが1996年に新装改訂版として出版されたもの。

 

星座 / 野尻抱影
【星座】
恒星社版

 

星と星座 / 草下英明
星座への招待 / 村山定男、藤井旭

【星と星座】
保育版

【星座への招待】
河出書房

 いまとなってはいささか古めかしい本ですが、おそらくこの2冊と、藤井さんの『星座ガイドブック』が、もっとも読み返し&観望時に星空の下で読んだことが最も多かった本。いまではほとんどページをめくらなくなってしまいました(小さな本の割には結構重たい)。

 

星座の秘密 / 前川光
【星座の秘密】
恒星社厚生閣(2000年8月1日発行)
 目からうろこの話しが盛りだくさん。今までの星座本と違って、通常話題にならない内容が満載。考えてみれば疑問に思うようなところでさえ、今までの星座本では取り上げられなかった事柄が多く、かなりの疑問が解消されました。これはなかなか。個人的には星のソムリエの活動に役立ってます(他の人の話を聞いていても、まず取り上げられないような内容が多い)。  

 

中国の星座の歴史 / 大崎正次
【中国の星座の歴史】
雄山閣(1987年5月5日発行)

 国内で出版されている星座の本では、ほとんど扱いのない中国の星座を伝える貴重な一冊。当初はあまり興味のなかったアジアの星座(日本も含め)でしたが、講座を受け持つようになってからは、星の和名を始め、自分の生活圏になじみの深い日本の星々、ひいては天文学を学んでいるうちに、やはり日本が影響を受けた中国にも目を向けるべきだろうなぁ、と、たどり着いたのが本書。気がついたときは出版から20年近く経っていたので、絶版。古書店をさんざん歩き回って発見しました。貴重な本だから、古書の世界でも高値で売られているところがほとんどだったので(個人的には定価の倍以上の金額には手を出さないようにしている)、何店舗かで涙を飲みましたが、あるところにはあるのですね。とりあえずは定価で購入。ワクワクする内容がぎっしり筒待っています。

う~ん、星座は西洋などと固定観念で眺めていた自分が恥ずかしい…

 

ギリシャ星座周遊記 / 橋本武彦
【ギリシャ星座周遊記】
地人書館(2010年6月10日発行)

 パウサニアスの『ギリシア旅行記』からヒントを得たという本書。日本の星の本では、おそらく始めでかもしれない体裁。というのは、当然日本の本ならば、日本から撮影した星座の写真、あるいは海外の有名な夜空の暗いロケ地の写真がほとんどでしたが、出版される20年前に、星座の誕生地のひとつでもあるギリシアで著者が撮影した写真が使われています。それだけでも、星座ファンとしてはワクワクしてしまうのですが、その内容も古代(古典)を中心とした文献などが散りばめられていて、古典に目を向けている私としては嬉しい一冊です。

 


 

 ここからは、ちょっと古い(文体も訳も)けれど、星座の原典と言える古典書を紹介します。

 

星辰譜/ アラトス
【ギリシア教訓叙事詩集】
京都大学学術出版会(----年--月--日発行)
 すべての星座に関する原典であり、世界最古の星座リストです。一般には古代星座と言えばプトレマイオスの48星座が『アルマゲスト』の中でリスト化されていますが、何を隠そう、そのプトレマイオスが参考にしたのが、このアラトスでした。
 実はそのアラトスでさえ 、ヒッパルコスから受け継ぎ、そのヒッパルコスもプラトンの弟子のデータを参考にしていました。

  普通に読む星座の解説書とは違って、詩という形で歌い上げているので、なかなか理解しずらいところがあるかもしれません。それでも、太古の人たち(当時の若者)に、神々が作った天空に掛かる星々へ想いを馳せてもらえるようにと書いたものです。当時、この詩は占星術と共に大流行したようです。ただ、アラトスは天文学者ではないため、ヒッパルコスの間違いに気づくこともなく(しかも本人も実際に星空を眺めて書いたわけではない)、想像力を働かせて書いた詩なので、間違いをそのまま詩にしています。そのため現実に通用する星座の本ではありませんが、そうした間違いも含めて、楽しめれば、きっと古典の世界に足を踏み込めるでしょう(笑)。

  現在、邦訳で読むことができるのは京都大学学術出版会の『ギリシア教訓叙事詩集』のみです。

 

ウィトルーウィウス建築書
【ウィトルーウィウス建築書】
東海大学古典業書(1969年9月28日発行)
【ウィトルーウィウス建築書 <普及版>】
東海大学出版会(1979年9月28日発行)
 諸技術の原理的知識をもち、職人たちの頭に立って制作を指導しうる工匠の術を意味した一冊だったようです。この第九書に日時計に関することから、太陽の動き、その背後にいる黄道十二宮の説明が記されています。

 

アルマゲスト/ プトレマイオス

【アルマゲスト・復刻版】
恒星社(1982年発行)

 星座と言えばプトレマイオス。今の世の中で、原書であるこの『アルマゲスト』が顧みられることはほとんどありません。日本でも唯一の邦訳が年に出版されて以来、新訳がないために貴重な一冊です。
  古代星座、つまりプトレマイオス48星座と言われる星表が第七巻第五章に「北半球の星座を形成する星々の表」、第八巻第一章に「南半球の星座を形成する星々の表」が掲載されています。

 私が持っているのは復刻版で一冊に収まっているために、少々分厚い体裁になってしまっています。時々、大型書店の専門書のコーナーに姿を現すことがあります(笑)
  一次、京都大学学術出版会から出版予定になっているという情報が出ていたことがありますが、今のところ音沙汰ありません。

 

ヘヴェリウス星座絵図(薮内清)
【ヘヴェリウス星座絵図<新装版>】
地人書館(1993年4月15日
発行)

 通常、目で見た姿のイメージで楽しむことが多い星座たちですが、この星図が制作された十五、六世紀頃は、天球側から星座を見た姿、つまり神の目で見た姿で描かれているために、すべての星座たちの姿が背後から描かれています。結構衝撃的な星座絵図集です。その頃の人たちにとっては当たり前の姿ということを知ったときも、結構衝撃を受けました(笑)。当時はこれが当たり前。現在は芸術的観点の評価を得ています。

 

フラムスティード天球図譜
【フラムスティード天球図譜<新装版>】
恒星社編(1989年2月25日
発行)
 ヘヴェリウスの星座絵図集と同じく、ギリシア神話のイメージを色濃く反映した版画星図ですが、こちらは地上の人間が見た通りに描かれています。つまり制作時には逆さに描いていました。ヘヴェリウスの場合と違うのは、単に左右が逆に原画を描くことでしょうか。
 フラムスティードの星図は、ほとんどの星座関連に採用されている作画で、きっと一度は見たことのあるページが次から次へと登場してくるはずです。ただ、残念なのは見開きで一枚にしていること。ヘヴェリウスのように大版になっても構わないから、各星座を一枚に印刷して欲しかったなと… そして本自体の作りが結構雑な張り合わせのような装丁なので、本特有の湿気を含むと張り合わせたノリの部分が膨らんで、ページが分裂気味です(涙)

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