『一番星のなる木』の別頁でも紹介していますが、私は村山定男・藤井旭コンビによる河出書房から出版された数々の天文書を読んで、星や宇宙の神秘的な魅力にとりつかれました。今は星のソムリエとして、その村山先生の拠点となっていた国立科学博物館で、毎月第一、三金曜日に行われている天体観望会でお手伝いをさせていただいています。 そんな私がお薦めする星の本をご紹介します(かなり偏っているかもー)
天文学史/桜井邦明
 人類が誕生して最初に芽生えた学問が天文学であるという話を良く耳にしますが、人類が辿ってきた天文学の歩みを「天文学史」と名づけて、時代毎にエポックメイキングとなった事柄や人物にスポットを当て、コンパクトにまとめられています。そうした歴史がポケット(に入れるには少々厚めの文庫なのでいささか無理はありますが)に入り、気軽に読めるというのは非常に嬉しいものです。
 私の興味は「近代天文学の夜明け」と言われる時代の動き。特にコペルニクス以降、ニュートンまでの天文学に惹かれます。これは「近代への移行期」(P93)と「近代の天文学I」(P166)で読むことができました。非常にわかりやすくまとめられていて、おもしろく読むことができました。

 この本は1990年に出版され、2007年に文庫化されたものです。文庫ということで携帯に便利ですが、体裁が私が慣れているレイアウトと違って、左開横組です。


天文学の歴史/ヘザー・クパー、ナイジェル・ヘンベスト共著
 東洋書林から姉妹書に『ギリシア神話の世界』がありますが、こちらも同じように重厚な体裁で、ずっしりと重く、そうした重量に似合った濃い内容です(笑)。

 『ギリシア~』と違って、ハードケースに収められ、気軽に手にして読むという雰囲気は全くなく辞典的な感じですが、内容はカラーなどの図版が多く収録されていて、さすが「ビジュアル版」とうたっているだけあり、重たくなってしまっているのは仕方ありません。また、ビジュアル版とは言っても、美しい天体の写真を豊富に載せているのではなく、歴史的な人物や事象などを解説するイラストなどが多く、それらを求めてしまうと、ちょっと路線が異なってしまうかもしれません。しかし、ここまで「天文学の歴史」だけにこだわった一冊は、これまでにはなかったものです。そういう意味でも、宇宙を、星を眺めるときに、自分たちの歴史を振り返ることができる読み応えのある書物であることは間違いありません。



BANG! 宇宙の起源と進化の不思議
 私が好きなロックバンドの、しかも好きなギタリスト中でも3本指に入るブライアン・メイが自分と同じ天文が好きだなんて知ったときは大きな喜びでしたが、2007年8月にかつて在籍していた英国のImperial Collegeへ「惑星間ダスト」の研究論文を提出し、博士号を取得したニュースが舞い込んできました。
 そしてタイミング良く出版されたのがこの『BANG ! 宇宙の起源と進化の不思議』という大型のビジュアル本。共著が英国の天文学者パトリック・ムーアとクリス・リントット。宇宙の創生から現在解き明かされている宇宙の神秘的な姿をオールカラーで、時系列に書き進められています。
 “実際に起こった順番で語りたかった”という著者たちの熱い思いが、この啓蒙的な一冊の本にまとめられたのは驚異的としか言いようがありません。表紙もホログラムで非常に凝っていて、見る角度によって火の玉の広がりか異なり上下に傾けると「ドッカーン」と爆発して見える仕掛けになっています。

 文中に2006年6月8日の金星の日面通過のポートレイトが掲載されていますが、時同じくして日本と、遠く離れた英国でも同じ現象を眺めていたのを知って、ますますブライアンが好きになってしまいました。



星を近づけた人びと -上-
星を近づけた人びと -下-
 「おはなし天文学」の著者である斉田博先生の書き上げた、あまり表だって語られることのない天文学者の半生を描いた作品集。上下とあり、かなり読みごたえがあります。「へぇーそうだったのかー」といったエピソードが詰め込まれ、先生の一品である「雨の日の天文学」(クイズ集)と同じ性格を持っているのではないでしょうか。私は、このエピソード集にはまってしまい、現在ではほぼ新刊(復刻)は考えられないので、図書館を巡って読むことが出来ました。

他にも斉田先生には『天文学99の謎―宇宙と星はどのように解明されたか 』や、いわゆる遺作となってしまった星の手帖に連載していた『宇宙の挑戦者』 など、啓蒙的な著作を数多く出版されていて、私も大いに感銘を受けました。

 ここでは最近その素晴らしさにはまってしまった斉田博先生の著作を紹介します。すでに廃刊となってしまった本ばかりですが、中は再版された作品もあり星好き、特にその歴史に興味がある方には是非読んでもらいたいと思います。



写真集
BEYOND(ビヨンド)
  アマゾンのレビューにも以下のようにコメントしましたが「地上の芸術家は誰もこの作品にはかなわない」と思います。

 自然が織り成す芸術の数々。それが地球以外にも垣間見ることができ、それらを撮り貯めていたNASAがやっとネット以外の媒体(しかも大判の写真集)で出版を許してくれた事に感謝したいと思います。こーゆーのを待ってた(笑)

 カラーとモノクロ併せて295枚。一枚一枚に畏敬の念を感じせずに入られません。1966年8月25日にルナ・オービターから撮影された『地球の出』から、(私の生まれる一年前)2004年5月2、3日の火星探査機オポチュニティまでの40年に及ぶ集大成。人間にとっては一生に近い時間も、宇宙にとっては一瞬の出来事です。人類が成し得た遺産のひとつといっても過言ではないでしょうか。



FAR OUT(銀河系から130億光年のかなたへ)
 上記写真集をまとめたマイケル・ベッソンがふたたび、今度は惑星探査機の写真種ではなく、地上の、地球を周回する天体望遠鏡が遥か遠くを眺めた写真集です。
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