星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)

ジャン、またはヤン・シベリウス(1865-1957)は
北欧世界における最大のシンフォニストというイメージが強いのですが、
私が彼に興味を持ったきっかけはピアノ小品。
いかにも北欧らしいイメージにピッタリの『樹の組曲』です。

樹の組曲 Op.75
作曲:1893頃
初演:1893年10月28日ペテルブルク(作曲者自身による)
 
第1曲:ピヒラヤの花咲くとき
第2曲:孤独な樅の木
第3曲:ポプラ
第4曲:白樺
第5曲:樅の木
 

 ラジオのリクエスト番組でこの曲の存在を知り、ドビュッシーとはまた違った自然の扱いに惹かれました。シベリウスの国はフィンランドという、日本とはまったく異なる環境。憧れの北極圏に近い土地柄、見えるもの感じるもののすべてに、大自然の力強い息吹を音楽の中に表現しているかのような作品集。その時に演奏していたのが、舘野泉詩によるEMIのレコード(1971年の録音)から。帯には「世界初のピアノ小品集」とコピーが書かれていますが、シンフォニストとしての顔がメジャーすぎて、今まで誰も取り上げることのなかった作品集なのでしょう。
  その後『アイノラのシベリウス』という、作曲者本人の愛奏していたピアノを使ってのCD(1993年)。私が所有しているのは通常のCDですが、SACDでもリリースされていて、マルチチャンネルの良さが存分に味わえるディスクでした。  この曲を知ったのは、クラシックリクエスト(確か日曜日の午後のFM)でのオン・エアでした。ラジオから流れて来たのは、70年代にEMIでレコーディングしたレコードの方でした。その後、キャニオンからデジタル録音されたのを機に購入しましたが、その後SACDとしてリリースもされたようです。
 小品でありながら、親しみやすい旋律(日本的とも言えるような…)とも相まって、多くのピアニストによって取り上げられる組曲ではないでしょうか。

 シベリウスの代表作として名高い交響詩『フィンランディア』は、EMIの45回転シリーズの単発で友達から聴かせてもらったのが最初です。冒頭のおどろおどろしい雰囲気は、ギリシア神話にピッタリで、当時ペルセウス座のB.G.Mで使った記憶があります。そうしたイメージというのはいつまでも残っていて、今もこの曲を聴くたびに天駆ける勇者ペルセウスの物語を思い浮かべてしまいます。曲の展開からいっても、最初に女怪メドューサとの対決があり、颯爽とペガススに跨がって凱旋する下りなど、曲調とピッタリだと思います(笑)。その後、オーマンディの合唱版とかヤルヴィの地元盤(笑)、作曲者編曲のピアノ版など名曲だけに様々な演奏で聴くことができます。そのシベリウス、多くのクラシックファンの間では、やはりシンフォニストというイメージが強いようです。しかし私はピアノ小品のイメージの方が強いので、交響曲の方はどうも敬遠しがち…
 そんな中で触手が伸びたのがネーメ・ヤルヴィの交響曲全集。それまでカラヤンやオーマンディなどの演奏をかい摘んで(雑誌などで絶賛されるレコードなど)聴くことはありましたが、美しいジャケットをあしらったヤルヴィ版で、彼のイメージがグッと具体的になったような気がして手にしたのが最近のこと。



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