人の声に興味を持つようになったきっかけは マーラーの交響曲第2番からでした。その曲がベートーヴェンの交響曲第9番からの影響下にあったということで、次に手を出したのは、「マーラーを理解するため」にも、自然な流れから交響曲第9番『合唱付き』に向かったのは当然の選曲でした。特にベートーヴェンは、しれば知るほどに、のめり込んでしまい人類の讃歌的なメロディのうちの一つだと思いま(まだ歌うほどにのめり込んでいませんが…)。 このページ(声楽)のカタログは、講座などで『天球の音楽』シリーズの資料集めをする過程で、知らなかった作品やCDなどの情報などで増えていく予定です。 |
| 特にここで紹介しているのは日本だったら特定のジャンルの人々にしか販売効果がないだろう教会音楽(キリスト教の音楽)です。だからといって私が宗教にのめり込んでいるわけではありませんから安心して下さい(笑)。こういった楽曲がたまたまこのジャンルでしか受け入れられなかったのでしょう(ジャケットがみんな似たり寄ったりというのも一因していると思いますが…) 数年前、ポップス界で『グレゴリアン・チャント』が紹介されたときは今まで耳にしたことがない音楽に触れた人たちに大受けしたのでしょう。人を癒すのはやっぱり同じ「人」だということです。 “天界の音楽”が規則的に動いている天球の奏でるハーモニーだとしたら、人の声で聞こえてくる“天界の音楽”は天使の声と解釈されるのでしょうか? |
|
|||
グレゴリアン・チャントが流れてくる前にソレーム修道院の鐘の音が収録されていて(結構長い…)、あたかも教会で「彼らの声」を聞いているかのような錯覚になりそうです。ここに収録されているのは、今でこそ音楽という芸術の分野で聞かれるような「商品」として記録されたと思われますが、本来の役割は、神への誓いの言葉や、神からの言葉を聖職者たちが覚えるために抑揚をつけて行われたのが発祥とされているグレゴリアン・チャント。 調べてみれば、下で紹介する予定の、私が声楽に興味を持って手にしたパレストリーナよりも前の、グレゴリアンチャントが、ビルボードのレコードチャート(Billboard 200)で、ポップスのチャート上で3位となるチャート・アクションを見せ、一世を風靡していたことがあった模様。残念ながら、いっときビルボードのチャートを追っかけていなかった時期があって、まさにその最中のランクインでした。 |
|
|||
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina, 1525c-1594)は、のミサ曲を2曲収録しています(全曲伴奏なしのアカペラ)。寝るときに良く掛けていました。快い睡魔を誘ってくれるので最初の数曲のメロディを知っているぐらいで、後のはどういう曲が入っているのかわかりません(どこでミサが変わるのかわからないし、その程度です、私の宗教曲とのふれあいは)。しかしこういった曲が、私の考えているところの天界からの音楽かもしれません。 |
|
|||
| 個人名が残っている最初期の作曲家がペロティヌス(Perotinus, 1160-1230)の作品集で、なんとECMレーベルからリリースされました。ペロティヌス、またはペロタンとも呼ばれています。ノートルダム楽派のポリフォニー音楽の最も有名な担い手と音楽史の中では位置付けられていますが、ここにその全てが収録されているのは嬉しいところ。また、彼らのレコーディング合わせて撮影された『神が宿った汝の口づけ〜現代のペロタン』は資料価値が高い映像作品です。日本語字幕が嬉しい。 さて、このアルバムにはペロタンことペロティヌスの作曲とされる6曲が収録され、間を挟むようにしてグレゴリアン・チャントが挿入されています。 |
|
|||
「ヨハネス・ケプラーには作曲家や演奏家としての技量はなかったが、彼の周囲にはたえず音楽があり、多くの場面で個人的に音楽活動に関わってもいた」とあるように「たびたび聖歌隊や地元の貴族の家の音楽会に積極的に参加して」いたようです。そしてピュタゴラスの「天球の音楽」を求める際に、オルランド・ディ・ラッソ(Orlando di Lasso, 1532 - 1594)やこのアルバムに収録されているグレゴリアン・チャントの『復活のミサ』を、惑星の運動から得られる音階と比較するなどして、自らの研究を進めました。 |
音楽史によれば、ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ(Giovanni Pierluigi da Palestrina, 1525c-1594)は、1565年に行われたカトリック教義における『トレント会議』において、「典礼式用の音楽に必要とされる諸条件を見事に満たしている」と言われるように、信者でなくとも、言葉の意味がわからなくても、彼の心地よいハーモニーに癒されるのではないでしょうか? 今やなくなってしまいましたが、渋谷にオープンしたてのWAVEでピック・アップされていたことで目に止まったのですが、店側も歌の内容云々よりは、この耳に心地よいハーモニーを推しての販売だったと思います。 このアルバムにはパレストリーナの代表作であるミサ曲を2曲収録しています。寝るときのB.G.M.として掛けていました。快い睡魔を誘ってくれるので、最初の数曲のメロディを知っているぐらい… 後のはどういう曲が入っているのかわかりません(どこでミサが変わるのかわからないし、その程度です、私の宗教曲とのふれあいは)。しかしこういった曲が、私の考えているところの天界からの音楽かもしれません。 |
サンティアゴの奇蹟 (MIRACLES OF SANT'IAGO) 01. 来たれ、キリストを信じる者すべて (Invitatory: Venite omnes cristicole) 02. めでたし、祝祭の日(Processional: Salve festa dies) 03. われらが声よ高まれ(Benedicamus trope: Vox nostra resonet) 04. 王中の王なる主を(Invitatory: Regem regum dominum) 05. われら一同、喜び讃えん(Benedicamus trope: Nostra phalanx plaudat leta) 06. 祝福されたるヤコブの御墓に(Antiphon: Ad sepulcrum beati Iacobi) 07. いと高き王の宝なる(Benedicamus trope: Ad superni regis decus) 08. 希望にして癒し手なるヤコブ(Brief responsory: Iacobe servorum) 09. われら主を祝福せん(Benedicamus domino) 10. 今日の日、喜びもて讃歌を捧げん(Conductus: In hac die laudes) 11. 全能の御父なる神よ(Kyrie trope: Cunctipotens genitor) 12. 天上の合唱は詩篇を歌い(Hymn: Psallat chorus celestium) 13. この上もなき喜びもて(Prosa: Alleluia: Gratulemur et letemur) 14. イエズスは山に登り給いつつ(Offertory: Ascendens Ihesus in montem) 15. 慈悲ぶかく優しき神の小羊(Agnus dei trope: Qui pius ac mitis) 16. われら喜ばしく祭日を祝わん(Benedicamus trope: Gratulantes celebremus festum) 17. 聖ヤコブよ、ここに再び (Conductus: Iacobe sancte tuum) 18. おお、とこしえの救い主よ)(Responsory: O adiutor omnium seculorum) 19. 最後の御審きの日に(Prosa: Portum in ultimo) 20. 教会に集う者らすべてを挙げて(Benedicamus trope: Congaudeant catholici) 21. 御身がしもべらの嘆く声に (Prosa: Clemens servulorum) アニノマス4 1994年録音。 (輸)HARMONIA MUNDI CA 90025 CAL 9281.2 |
パレストリーナの合唱曲を一通り聴いた後は(といってもほとんど記憶に残っていない曲ばかりなので、聴き込んだとはとうてい言えないのですが)、シンプルな編成(合唱→数人)の曲が聴きたくなり、レコード店で丁度宣伝していたのが、この女性4名からなるアニノマス4というグループのアルバムでした。アルバム・タイトルは『サンティアゴの奇跡』と付けられています。輸入盤を購入したので、当時は詳しいことがよくわからず、ほぼBGMとして聞いていたのですが、実は国内盤としてもリリースされていたようで、そこには |
|
|||||||||||||||||||||||||||||||
このアルバムは女声のみを集めたコンピレーションもの。クレジットに詳しいことが書かれていませんが、もしかしたら、このアルバムのためにレコーディングされたのかもしれません(色々なアルバムからの寄せ集めではない?)。 |
01. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、信徒らのいと輝かしき群れよ 02. 作者不詳:新しき星の光が輝き 03. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、流血の惨事よ 04. 作者不詳:人間をあわれみたもう神は 05. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、神の光にて輝きたもう御身 06. 作者不詳:ばらのごとき花が 07. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、いと若々しき枝よ 08. ロバート・キア:モテトゥス「円環より」 09. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:今や教会の母なる内が喜ばんことを 10. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、永遠の神よ 11. めでたし、海の星(13世紀のラス・ウエルガス写本より) 12. ヒルデガルト・フォン・ビンゲン:おお、いと気高き若々しさ タペストリー 1997年録音。 TELARC PHCT-5178 (CD-80456) |
| このアルバムの国内盤には『天空の光』というタイトルがつけられています。アニノマス4に引き続き、こちらは米国の女性4名からなるグループです。僕がもっとも惹かれたのは、このころ興味を持っていたビンゲンの作品が収録されていたことです。また、彼女の書いたテキストを基に1952生まれのロバート・キアという作曲家が書いた曲も違和感無く挿入されています。 このページで紹介するアカペラ曲ではもっとも古い曲で、それだけで星空との仲介を果たしてくれているような気がしてなりません。特にビンゲンは幻視者というだけあって、中世の星空から何かの天啓を受けて作曲をしていたのかもしれません。 |
| 宗教曲をどうやって解釈して向き合うかによっては、まったく手を出さないか、私のように無宗教である日本人らしさ(笑)をバンバンいかして聞いてしまうかのどちらかではないでしょうか。 「レクイエム」とか大好きなのは、宗教的という観点と言うよりも、私にとってはやはり音楽の芸術性を期待して聞いています。また、演奏側も、オペラをやり、神聖な神を讃える宗教曲をもやってしまうというのは、敬虔なる信者から見たら、どういう風に映るんでしょうか?「あんな下品な作品(どれとは言いませんが)を歌う歌手が、神を讃える曲を歌うんじゃないっ!」てなもんじゃないでしょうか? また、単に音楽好きであれば、特にキリスト教は、カトリックとプロテスタントという派閥争いもあり、その壁を越えて自由に聴くことが出来るのは嬉しいところです。 私は読書中にBGMを掛けることが多いので、ガリレオの活躍した時代の本(天動説から地動説という、当時の人々の人生観を根底から覆してしまうことになる)を読みながら、バッハの宗教曲に手を出し始めました。というのも、出来ることなら「それに相応しい音楽を」というところから「じゃあバッハかな」という軽い気持で聞き始めたのです。すると、今まで知らなかったキリスト教が見えてきました。 たとえば、ガーディナーのモーツァルトミサ曲の解説書に次のような事が書いてありました。モーツァルトの宗教曲がオペラティックだという事を言う人達がいて、それに答えて 「18世紀は19世紀と違った世紀で、19世紀的な意味での宗教的な感情などというのがなく、すべて美しいものを神の前に捧げれば良かったのである。それを知って入れてば、このミサの中にソプラノと木管のカデンツァが出てきても驚かないはずだが、逆の意味で演奏はブリリアントで、オペラティックでなければならないのである」 この解説は目から鱗でした。K626にしても、ヴェルディのレクイエムにしても、どうしてあんなに激しく感情的なのだろうと常々思っていましたが、そうした作曲された当時の状況下がわかっていれば、オペラティックな曲であっても神への冒涜ではないと、逆に楽しめてきそうです。 そんな事から考えても、クラシック音楽における宗教曲は、当時はそうした意味があったジャンルですが、今は一部の人たちの「祈り」ではなく、万人から「芸術」として受け入れられる娯楽作品として受け取るというのは間違いではないと思います。それから、当時は教会の中に女性は立ち入りを禁じていたために、現在聞かれるようにソプラノやメッゾソプラノといった女声による演奏は少なかったはずです。宗教曲は好きですが、C-T(カウンターテナー)が苦手な私は、どうしても美しい女声を求めてしまいます。この点を取っても私には宗教的素質は一切ありません(笑) |
キャサリン・ボット 1995年録音。 L'OISEAU - LYRE POCL-1716 |
| 邦題は『ワン・ヴォイス』。このアルバムは古楽声楽家のキャサリン・ボット(ソプラノ)が、文字通りたった一人伴奏なしで唄っている驚異のアルバムです。曲は11〜13世紀に書かれた歌曲集で、この手のアカペラは、どちらかと言えば宗教的な内容が多いのために、別の雰囲気が醸し出されそうですが、詩の内容は僕がここで取り上げている“天界の音楽”の分類でいくと、全く別の世界、つまり人間の愛や苦しみを歌った曲ばかりなので、安心して(笑)耳をかたむけることができます。 |
キャスリーン・シュローダー 1995年録音。 (輸)CHAMPEAX CSM0006 |
| ヒルデガルド・フォン・ビンゲン(1098-1179)は歴史上最も古い時代の女性作曲家でだったそうです。先のアルバムでは彼女を“幻視者”と紹介しましたが、この頃の人たちは、ピタゴラスやプトレマイオスの宇宙観で事象を考えを持っていた人たちですから、天変地異による世の中の事象はすべて天啓として受け止めていたに違いありません。アルバムの雰囲気もまさに、作曲家が感じていた当時の思想を反映しているような感じです。 このアルバムは、キャサリン・ボットのアルバム同様基本はたった一人による歌唱ですが、時にはソプラノの二重唱になったり、ヴィオールなどの伴奏がついたりして、一辺倒になりそうな流れにアクセントをつけてくれています。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
〜参考書〜
中世音楽の精神史
(金澤正剛、河出文庫)
中世・ルネサンスの音楽
( 皆川達夫、講談社学術文庫)
キリスト教と音楽 ヨーロッパ音楽の源流をたずねて
(金澤正剛、日本基督教団出版局)
キリスト教音楽の歴史
( 辻荘一、日本基督教出版)
CD案内キリスト教音楽の歴史
( 川端純四郎、日本基督教団出版局)
中世キリスト教の典礼と音楽
( ジョン・ハーパー (著)、佐々木勉/那須輝彦(共訳) 、 教文館)
|天界の音楽|
|home(一番星のなる木)|
