夜想曲「星空の詩」 Op.129
CHARLES KOECHLIN / Heinz Holliger


 フランスの作曲家、シャルル・ケクラン(1867-1950)は、天文学者を志していたというエピソードを聞き知って私の目にとまりました(笑)。

  静かな序奏に始って、だんだんと盛り上がりを見せていく。まさに原題「星空に向かって(邦題はあくまでも「星空の詩」のようです)」とあるように、地上から見上げていた好奇心の眼が、科学の力を身につけ、次第に地球を離れ、大海原と化した星空へと旅立っていくような曲。静かな雰囲気は始ってすぐに終わってしまいますが、いっぺんの映画を見ているかのような曲想。たとえば未知との遭遇に近い物があるでしょうか?
 この「星空の詩」は、同郷の天文学者、カミーユ・フラマリオン(1842-1925)の思い出に捧げられた管弦楽のための夜想曲。このあたりも私のつぼにしっかりとはまっているのですが、フィールドやショパンのそれが、私の考える所の夜想曲とは違った意味を持っていますが、ここでは私が求める夜想曲を体現させてくれます。

  ケクランはここで紹介した管弦楽曲のほか、ピアノ、もしくはハープ独奏のOp.32と、フルートとホルン、ハープのためのOp.33と魅力的な夜想曲を残しています。また、彼は(本職の?)作曲家という肩書きのほかに天文学者としての顔を持っていることから、その作品には天文学を思わせるタイトル曲を見つけることができます。
  なお、ケクランはフラマリオンの天文書を読んで星に興味を持った様ですが、このフラマリオンは火星のカナリ(渓谷という意味)を知的生命、つまり火星人が建設した運河であると主張したことで知られています。また、中世の宇宙観としての挿絵として有名な製作を手掛けた人物でもあるのです。 もう1曲の「ファブリチウス博士」はヨハネス・ケプラーの娘と結婚した天文学者です。この管弦楽曲で使われているオンド・マルトノ(メシアンの「トゥランガリーラ交響曲」が最も有名な曲)という楽器の存在が、強く現代音楽を意識させてくれます。

 

 

 オーケストラ曲は雄大な曲想ですが、Op.32はフルート、ホルンとハープのための「2つの」夜想曲。そしてOp.33はハープのための夜想曲です。私が所有しているのはOp.32も33もピアノ伴奏ですが、どちらにしても夜を連想させる静かな曲です。
夜想曲 Op.32とOp.33
CHAMBER MUSIC
PIANO MUSIC / Deborah Richards

フルートとホルン、ピアノのための2つの夜想曲 Op.32
(Deux Nocturnes Op.32 bis pour flute, cor et piano)
I. Venise(Andante con mot)
II. Dans la foret(Adagio)
Tatjana Ruhland; Flute
Joachim Bansch; Horn
Yaara Tal; Piano

夜想曲 Op.33
(Norturne, Op.33)
Deborah Richards; Piano
※原曲はハープのための夜想曲

バスーンとピアノのためのソナタ Op.71
(Sonate pour basson et piano Op.71)
I. Andante moderato
II. Nocturne: presque adagio
III .Final: Allegro, vigoureusement et rudement rythme
Eckart Hubner; Bassoon
Inge-Susann Romhild; Piano

ソロ・イングリッシュ・ホルンのためのソナタ Op.185
(Suite pour cor anglais seul Op.185)
I. Melopee pour s'evader du reel
II. Scherzo: Danse de faunes
III. Plainte Nocturne
IV. Final: LAme libre et fantasque
Lajos Lencses; Englischhorn


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