アンサンブルによる夜想曲 |
夜想曲といえば、誰もが思い浮かべるのがショパン(私にとってはフィールドです)のピアノであり、そのイメージはシンプルにピアノという音色ではないでしょうか? |
ヨハン・ヘンリク・フライトホフ (Johan Henrik Freithoff, 1713-1767) |
ジョン・フィールドが創始者と言われる夜想曲の第1作目が作曲されたのが1812年。このフライトホフが作曲したこの楽曲は、少なくともフィールドよりも早く18世紀中に年に作曲されているので、このタイトルがつけられたのは、作曲者の意向ではなく、出版社が世間で「夜想曲」というジャンルがヒットしているのを受けてのことかもしれません。 このアルバムには2つの夜想曲が三重奏曲(2Violin、Cello、Harpsichord)の編成。他のトリオ・ソナタに交じって収まっています。こちらはフルートが主役になるぐらいで、雰囲気は変わらないリラックスした楽曲が揃っています。特にハイドンがディベルティメントと名付けた2梃のヴァイオリンとチェロのための三重奏が聴けるのは嬉しいです。 |
FREITHOFF SIMAX |
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フランツ・アントン・ホフマイスター (Franz Anton Hoffmeister, 1754-1812) |
生前は楽譜出版社として名を馳せたホフマイスターですが、1790年代から次第に作曲に手を染め、数多くの室内楽作品を残してくれました。ここに紹介する夜想曲は、オーボエ、ホルン、ファゴットに2本のヴィオラというかなり変則的な編成。明るい感じの、和気あいあいとした演奏からは、タイトルにもなっている「夜想曲」といった雰囲気を感じ取ることはできませんが、なんか遠い昔を思い出すような楽器同士の和音が心地良く夜のしじまに流れて来ます。 |
HOFFMEISTER TUDOR 7075 |
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フランセスコ・モリノ (Francesco Molino , 1775-1847) |
ギタリスト兼ヴァイオリニストでもある作曲家のモリノの魅力を収めたアルバムから。セレナーデ・ア・トロアの演奏。この一枚はフルート、そしてヴァイオリン・ソロにギターが伴奏の一枚。収録されている夜想曲は Op.37がヴァイオリンとギター、Op.38がフルートとギターの為に書かれています。この時代に、現在のポップスなどと共通するサウンドを書いていたと言うのは新鮮な驚きでした。でも、この頃のイタリアはカンツォーネとかセレナーデとかのジャンルでは、ギターが主役だったりするので、もっとも手軽で一般的なスタイルだったのでしょう。私が知らなかっただけで(笑) モリノはこの2曲以外にもOp.39(Flute & Guitar)、Op.36、Op.44、Op.57(Guitar & Piano)と計6曲残してくれていますが、いずれもギター伴奏でフルートとヴァイオリンで奏でられますが、なかなか聴く機会がありません。 |
MOLINO CPO 777 448-2 |
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ジギスムント・ノイコム (Sigismund von Neukomm, 1778-1858) |
夜想曲に巡りあうまで知らなかった作曲家の一人ですが、ハイドンに師事し『天地創造』の編曲を手がけたとのこと。また、南米に渡り、ハイドンやモーツァルトの音楽を広め、モーツァルトのレクィエムを補筆した、いわゆる「リオ・デ・ジャネイロ版」でも知られているのだとか。ここで紹介する夜想曲は、ベルリン・ドイツ・オペラ室内アンサンブルの演奏で、最大九重奏曲から最小人数である五重奏曲の間に置かれたアンサンブル作品。ハ長調という明るい音色で奏でられるのはピアノによる序奏から始まり、オーボエ演奏。 |
NEUKOMM |
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フェルディナント・リース (Ferdinand Ries, 1784-1838) |
ベートーヴェンの弟子の一人で、師匠の作風を色濃く反映した作品を残しました。ここで聞くアンサンブルのような作品を最初に耳にしましたが、彼の中核を占めるのはピアノ作品。なので、カタログを探しましたが、ピアノによる「夜想曲」がないのは残念。 |
RIES CPO |
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♪参考資料♪
クラシック作曲家辞典(監修:中川原理/フェニックス企画編)
クラシック作曲家大全(監修:ジョン・バロウズ、日本語監修:芳野靖夫/日東書院)