フィールドやショパン、フォーレに代表される「夜想曲」。このフレーズにインスピレーションを受けた作曲家は、それこそ星の数ほど。すべてを網羅するなんてことはできませんが、時折、こうしたアルバムが登場してくれると、ファンとしては嬉しいですね。ピアノを奏でているのはアメリカ人ピアニストMichaelLandrumで、美術の修士号も持ち、映画にも深い知識を有しているとのことで、ノクターンをノクターンらしく弾いているのではなさそうです。 Disc 1 Disc 2
|
夜以前、この手のオムニバスものでは小山実稚恵さんのアルバムを愛聴していましたが、第二段的なアルバムがリリースされました。惜しむらくは、その選曲で、先のアルバムと同じ曲が入っていることでしょうか。こうしたアルバムでないと、決して選曲されることがないような夜想曲がもっとたくさんあるはずで、そうしたことを考えると、いつも選ばれるのが同じ作曲家の同じ曲だと、もうちょっと市場リサーチというものをお願いしたいなぁ、などと大胆なことを思ってしまいます。
|
夜想曲はたった1曲のみですが、ロマンティックな、いかにもノクターンを絵にかいたような作風です。ここまでやられちゃうと、逆に何も言えずにただただ耳を傾けるだけ。ヨアヒムはブラームスと親交のあった作曲家で、ヴァイオリニストのダニエル・ホープは、ブラームスという巨人の陰に隠れがちだった彼の作品にスポットを当てています。 何気なく手にしたアルバムに、思いがけず「夜想曲」が入っていたパターンですが、フィールド、ショパン、フォーレと違ってヴァイオリンとオーケストラのためのノクターン。それだけでもなんとなくどんな感じか想像できようもの。まさにその通り。
|
2011年はフランツ・リストの生誕200年記念にあたり、様々な企画が催されていますが、この一枚もそうした意味を持っているようです。嬉しいのは、それまで「愛の夢」とだけ紹介されているリストの有名なメロディが、「3つの夜想曲」として紹介され、しかもまとめて3曲が収録されていることです。まさかあの曲が夜想曲だった、ということは意外と知られていませんが、元は歌曲で、それをピアノソロにアレンジした曲です。このアルバムにはリストの曲(他に「慰め」)を中心に、ショパンの版の違う夜想曲第2番Op.9-2で全体を挟んでいます。
ちょっと意表を突かれたのが、リストやショパンのピアニスティックな作品に合わせてなのか、フィールドの第18番という、あまりノクターンらしくない曲が収録されていることです。
|
フランスを旅して構想を練ったというフランスものの選曲にフォーレのノクターンが散りばめられ、ドビュッシーの描いた「自然のかたこと」と共にひそやかな「夜の音楽」が奏でられています。
透明感のあるベーゼンドルファーの音色が晩秋から初冬にかけた空気の匂いや温度を感じさせ、こんなにも澄んだ青白い光を投げ掛けてくる「月の光」(ドビュッシーとフォーレ。フォーレはピアノソロに編曲)を聴くのは初めてです。秋の夜長に煌々と光る銀月を眺めているような透明感のある輝きを感じさせます。 |
夜の音楽と呼ぶのにふさわしい。ピアニスティックな表現を極力押さえた演奏が魅力的です。 夜想曲といえばフィールドやショパンを連想されるのは、あまりにも金字塔的な作品集だから致し方ありませんが、ここで小山さんは、それ以外にも作曲された多くの作曲家の夜想曲(あるいは夜がテーマの曲)を集めてくれています。だからといって決してロマンチシズムに溺れるわけでもなく、作曲家の描いた夜の音楽を体現させてくれるシンプルな演奏に好感が持てました。
フィールド、ショパン、フォーレ。三大夜想曲集(なんて誰も呼んでませんが)を書いた作曲家が一枚のアルバムに収められるのも珍しいでしょう。同一のピアニストによる楽曲(演奏)の違いを楽しむことができます。 |