夜想曲(ノクターン)を探しているときよりも、まったく別の曲を探している最中に、
思い掛けないところで出会う「夜想曲」は嬉しい発見です。

ここでは、そんな嬉しい発見の中のひとつ、日本人作曲家による夜想曲をご紹介します。

 

ジョン・フィールドの夜想曲

フレデリック・ショパンの夜想曲

ガブリエル・フォーレの夜想曲

声楽の夜想曲

日本人作曲家による夜想曲

 
 

 

JUST FOR ME /小川典子
(小川典子、滝廉太郎から坂本龍一までを弾く -日本のピアノ曲80年の歩み-)

01. メヌエット (滝廉太郎)
02. 憾 (滝廉太郎)
「花に因んだ3つのピアノ曲」(箕作秋吉)
03. 夜の狂詩曲 / 04. さくらさくら / 05. 春のやよい
06. 水煙 (菅原明朗)
07. 雨の道 (橋本国彦)
08. 踊子の稽古帰り (橋本国彦)
09. 夜想曲 -Nocturne- (橋本国彦)
10. 琉球舞踊 (清瀬保二)
11. 琉球舞踊曲「月夜の乙女たち」 (金井喜久子)
12. 秋 (早坂文雄)
13. かごめ変奏曲 (小山清茂)
14. 夜想曲 -Nocturne-(八代秋雄)
15. 変奏的練習曲 (中田喜直)
16. ピアノ組曲 (坂本龍一)
17. ぼく自身のために(坂本龍一)

 

 坂本龍一の小品♪JUST FOR MEからアルバム名が取られていますが、このアルバムは橋本国彦(1904-1949)矢代秋雄(1929-1976)の2曲が収められています。ただ、アルバムのクレジットには「夜曲」と記載されていますが、英語のタイトルが「Nocturn」なので、私はレコード会社無視で「夜想曲」と表記させていただきます(笑)。

 橋本国彦(1904-1949)が1934年に作曲した小品集の中の1曲と、矢代秋雄(1929-1976)が1947年に作曲した、共にピアノ作品。すでに20世紀ともなると、現代音楽に染まっていないと時代遅れる風潮もあって、シェーンベルクとかの影響があるのかと思いきや、ここではフィールドの夜想曲から昇華したドビュッシー風のモヤッとした色彩を感じることができます。
 1934年と言えばホルストの亡くなった年であり、カール・セーガンが生まれた年です。どちらもこの曲の作曲には関わりがありませんが、こうしたつながりを持たせて考えると世界が広がって面白いです。
 

 

 

ノクターン(大河原義衛)/山下和仁

 私が、山下和仁を知ったのは『展覧会の絵』をギター一本で録音したレコードでした。その後も超絶技巧ばかりが目立っていたので、ずっとテクニカル・ギタリストだと思っていました。しかし、ここ(次も)では、日本の黎明期のギター作品をじっくりと味わい深く聴かせてくれ、それだけでも大発見だったのに、そこに日本人作曲家の夜想曲発見という二重の喜びがありました(笑)。

大河原義衛(1904-1935)の夜想曲は「5つの独奏曲」に収められている小品。今まで夜想曲と言ったらピアノというイメージがあったので、ギターというぬくもりのある楽器による夜想曲は初めて聴きました。このレコーディングに使ったギターはホセ・ラミレスというガット弦の音色。

実はもう一曲紹介したい曲があって、こちらは夜想曲ではないのですが、武井守成(1890-1949)の「星を見るOp.112」。1948年に作曲されていますが、同じ年の11月1日に南アフリカで起きた皆既日食中に発見された「日食彗星」というのがあり、もしかしたらそれがきっかけで作曲されたのではないかと思うと楽しいですね。ただし、曲調は「星を眺めるときに聴くような夜想曲風」ではなく、異国情緒を漂わせた感じのセレナードといった趣き。

記録によればこの日食彗星(C/1948 V1)1910年に出現(回帰)したハレー彗星以来の大彗星だったようで、日本からもからす座の方向に見ることが出来たそうです(天文学報)。

 先のアルバムの第二弾の中にも「夜想曲」が収録されています。こちらは冨田勲が作曲を師事したという小舟幸次郎(1907-1982)の作品が収録されています。

 クレジットを良く見てみるともう一曲、日本語のタイトルでは気づかなかったのですが、英語表記が夜想曲の意味を持つタイトル。池上冨久一郎(1903-1954)の「歔欷(Noctorno)」が収録されています。

 

大江光

 シンプルな作曲で定評のある大江光。4枚のアルバムの中には、ノクターンや星を題材とした吉良星の如く輝く美しいメロディの楽曲が目白押しです。この2枚に収められているのは♪ノクターンと、♪ノクターン第2番。共にフルートがメロディを歌い、ピアノが寄り添うというスタイル。

 

 

優しき玩具 〜吉松隆:ギター作品集

ストリート・ダンサー/古風なる樹の歌/ベルベット・ワルツ/夏:8月の歪んだワルツ/木洩れ陽のロマンス/アラウンド・ザ・ラウンド・グラウンド(委嘱新作)/ペンギン公園の午後/朝の歌/水色のアリオーソ/夕暮れの天使たち/ノクターン/秋:11月の夢の歌/リムセ/水色スカラー/L嬢の肖像/冬:子守歌/ヴィネット/アーノルド氏のオルゴール/G氏の肖像/春:5月の夢の歌

福田進:ギター、19世紀ギター
和谷泰扶:ハーモニカ
松永一文:2ndギター
吉松隆:ウィンド・チャイム

吉松隆の「プレイアデス舞曲集」が天界からの音楽のように聞こえる私にとって、氏の作品集とあれば、
「ノクターン」が無かったとしても期待は高まるもの。しばらく廃盤になっていたギター作品集を購入した後に「ノクターン」が収録されていることに気付きました。まさに嬉しい発見。ピアノの響きと暗ると温かみのあるギターの音色。氏の、天界の音楽ばかり聴いていた耳には、よりヒューマンな感じがします。「プレイアデス舞曲集」が気に入った人は、ぜひ、こちらのギター作品集も聴いてみて!

 

一會集 /宮田大(2014)
宮田大:チェロ JulieGernay:ピアノ
01. チェロ・ソナタ イ長調(フランク)
02. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
03. エレジー Op.24(フォーレ )
04.BUNRAKU無伴奏チェロのための(黛敏郎)
05.夜想曲 Op.16-1(尾高尚忠)
 1746年製のテストーレを奏でたアルバムの中に収められた1曲。タイトルは「夜曲」となっていますが、英語表記は「Nocturne」と記載されているので、このページの上のアルバム同様、「夜想曲」として紹介します。
 


シルクロード浪漫/天満敦子(2004)
天満敦子:ヴァイオリン
吉武雅子(1-9)、小森谷裕子(10):ピアノ
01. 海浜音詩(秦咏誠)
02. 前奏曲とアレグロ(クライスラー)
03.ラルゴ(ヴェラチーニ)
04.牧歌(沙漢昆)
05.ベルタのノクターン(ポルムベスク)
06.チャルダーシュ(モンティ)
07.わが母の教えたまいし歌(ドヴォルザーク)
08.インドの歌(リムスキー=コルサコフ)
09.ニーグン(ブロッホ)
10.地平を翔る風(小林亜星)
ルーマニアの作曲家チプリアン・ポルムベスク(1853-1883)が作曲したピアノ曲で、ポルムベスク記念館の館長から「あなたのヴァイオリンで弾いていただきたい」と、献呈された曲だそうです。その逸話を聞いた小林亜星が、さっそくヴァイオリン用に編曲したのが、このアルバムの5曲目に収録されている♪ベルタのノクターン。

 

日本のシネマ/花岡千春(2004)
花岡千春:ピアノ
斎藤高順:プロムナード /野に咲くすみれ/汽車は行く/プレリュードとフガート
黛敏郎:バレエ「かぐや姫」〜金の枝の踊り
松村禎三:ギリシャによせる二つの子守歌
早坂文雄:夜想曲 第一/夜想曲 第三
芥川也寸志:こどものためのピアノ曲集「24 の前奏曲」
木下忠司:映画「カルメン故郷に帰る」〜そばの花さく
 
ドビュッシーの影響があちこちに漂うピアノ曲。ワルツのリズムもあったりと。

 

夜想曲リスト