星と天界の音楽と(星のソムリエのブログ)


 当時デンマーク領ホルシュタイン出身のドイツ人。1668年トゥンダーの後を継いでリューベックの聖マリア教会のオルガニストとなりました。そして夕べの音楽を主催し、北ドイツにおけるオルガン音楽の隆盛を築き、ヘンデル、バッハに多大な影響を与えたようです。ガリレオやケプラーが活動していた頃の作曲家、ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(1562−1621)のオルガンの流れを継承し、北ドイツ・オルガン楽派の最大の巨匠となりました。

Bux WV.はG.カールシュテットの作品目録(Buxtehude-Werk-Verzeichnis)の略。
トリオ・ソナタ Op.2

Dieterich Buxtehude
Trio Sonatas, Op.2 -1696-



Catherina Manson ; Violin
Paolo Pandofo ; Viola da Gamba
Ton Koopman; Harpsichord, Organ
Mike Fentross; Lute

   

トリオ・ソナタ 変ロ長調 Op.2-1, BuxWV259
トリオ・ソナタ ニ長調 Op.2-2, BuxWV260
トリオ・ソナタ ト短調 Op.2-3, BuxWV261
トリオ・ソナタ ハ短調 Op.2-4, BuxWV 262
トリオ・ソナタ イ長調 Op.2-5, BuxWV 263
トリオ・ソナタ ホ長調 Op.2-6, BuxWV 264
トリオ・ソナタ ヘ長調 Op.2-7, BuxWV 265

Catherina Manson ; Violin
Paolo Pandofo ; Viola da Gamba / Ton Koopman; Harpsichord, Organ / Mike Fentross; Lute

 ブクステフーデといえば、私が思い浮かぶのはオルガン(スウェーリンクの影響… 今度彼を聴かなきゃ…)。そして、特にバッハが彼の演奏を聴くために300キロの道程をモノともせず聴きに駆けつけたというほど、多くの人々を魅了したという逸話。
  そんなブクステフーデの話ぐらいしか解説書には書いてくれていないので、もっぱらオルガン曲ぐらいしか思い浮かびませんでした… そんな中、私をハイドンに開眼させてくれたトン・コープマンのチェンバロで、ここに聴く室内楽作品があるとは思ってもみませんでした。ヴァイオリンを独奏とし、ガンバ、チェンバロ、リュートの通奏低音が、いかにも趣味の良いバロックを奏でてくれます。

 実は私がブクステフーデに興味をもったのは、 チェンバロまたはクラヴィコードの鍵盤楽器のための作品として、『7つの惑星の性質を模した組曲(BuxWV251)』を作曲していたからです。しかし、残念ながら楽譜が現存せず(消失)、その存在を知らしめているのがヨハン・マッテゾン(1681-1764)が『完全なる楽長』の中で言及していることのみ。このマッテゾンも作曲家として、オペラ『プレイアデス』という、7つの星になった7人姉妹を台本とするオペラを書いています。

 そんな紛失中の作品に思いを寄せながら、こうしたトリオソナタを聴くと、なんとなく当時の宇宙観などを肌で感じることができるのではないでしょうか?というか、そう思いたい。いや、そう思って聴いてしまいます(笑)。
  なお、この頃のトリオ・ソナタが出版された頃の音楽界は、パーセルやコレッリ、その後に続くバッハ、ヘンデルなどが活躍していました。天文学の世界では、ニュートンの力学が世の中すべてを説明できるのではないかと思われていた時代、感受性豊かな作曲家が、ブクステフーデに限らず、手の届きそうな星空を夜毎眺めては、占星術と行き交いながら星空に想いを馳せていたのではないでしょうか?





Dieterich Buxtehude(1637-1707)

 
〜1630年代生まれの作曲家〜
Jean-Baptiste Lully(1632-1687)

Giovanni Battista Vitali(1632-1692)

Werner Fabricius(1633-1679)

Jean de Sainte-Colombe(1640-1701)

 
 この時代の音楽はバロックの黎明期から繁栄期。そして天文学の世界では望遠鏡の発達による観測が本格化し、ニュートンらの登場により、万物への力学的解釈が始まるようになってきます。

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