紅葉狩りに出かけると、つい頭の上の彩色に見とれてしまいがちだが、足下の敷き詰められた落ち葉もまた色鮮やかだ。
 足下でかさかさならしていると、その音ばかりに気をとられてしまいがちだが、よく見ると避けて通りたくなってしまうほどの芸術品が落ちていることがあるので、ゆっくりゆっくり歩くことになる。
 奥日光の紅葉狩りといえばメッカは国道120号線、沼田インターから金精峠に抜ける道沿い、ということになるのだろうが、ここはその穴場。この時期に尾瀬に入る人はほとんどいないので、ハイカーもまばら。白い車で行くと山の色に染まってしまう。
 観光客が去った売店に店員がいなくなってずいぶん経つんだろう。人気のない売店の軒先にはドライ状になったトウモロコシや唐辛子がおいてあった。乾燥していると入っても枯れた地上の色と違って艶やかな色彩が眩しかった。
 思いがけず氷雨に当たってしまった。木道は艶やかさを取り戻したようだったが、誰一人としてこの先へ進もうとはしなかった。戦場ヶ原に根雪が舞うのも時間の問題だ。

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